ペラペラの猫が生まれたのは偶然だった。
映像学科だった学生の頃、
私の班は課題の映像制作で無謀にもサザエさんのパロディをすることになった。
その時の「タマ役どうしよう」という問いに私は、
「適当にダンボールで作って持ってきて」と答えていたのだが、
いざ撮影に行くぞ、という電車の中で、メンバーの薄いカバンの中から
「これ作ってきたで」と出されたのが下の写真のような猫だった。
私は感動した。
あの薄いカバンから、
猫が出てきた。
写真だともうわからない。
電車の中に猫がいる。
必要な時に大きくなれる折りたたみ傘のような・・・
頭の中で猫の可愛さとモバイル感が結びついた瞬間だった。
私はこの子に「ペラ猫」という名前をつけた。
ペラ猫誕生から4年経ったが、
私はいまだにあのペラペラの猫を部屋に置いている。
なーんとなく捨てれないのだ。なーんとなく可愛い。
いや、可愛くないんだけど、憎めないほどよい存在感だ。
しかし、やはり4年もの月日でダンボール製のペラ猫はかなり痛んでおり、
また、ペラ猫にバリエーションが欲しいという欲望がうずきだした。
私はまた、ペラ猫を作ることにした。
ペラ猫を作るにはまずモデルとなる猫が必要となる。
私(カステラA)と花岡で大阪でも多猫ポイントとされる大阪城公園へ撮影に向かった。
ハトに夢中になる、もってきたエサが全く猫に通じない、などのトラブルもあったが、1日を捨てた結果なんとかそれなりの数の猫グラビアを取ることが出来た。
ある猫場にいた人懐っこい黒猫も捨てがたいが、
とくに最後に出会った売店裏の猫、超美猫である。
私の中のペラペラに対する想い、ペラ欲は日に日に肥大していた。
「もっと色々ペラペラにしてみたい。そして広めたい!」
ここで人間メンバーからプロカメラマンのピヨカメラちゃんにも手伝ってもらい
様々な動物達の写真を使わせてもらった。
また動物に限らずペラペラにしてみた。私はもうペラに魅せられていた。
この制作現場で、もうひとつ謎の制作が始まっていた。
人間メンバーのNOVOが、大きな木の板に車輪をつけていたのだ。
走る木の板。ある意味ペラペラな乗り物と言えるかもしれない。
ペラペラの動物を作っていく上で、さらにバリエーションを持たせようとして
作ってしまったのが変な「お面」こと「現代アート面(メン)」シリーズだ。
点字ブロックやマンホールなど、無機物までペラペラにして、お面にしまった。
コレをかぶれば誰でも現代アートみたいになってしまう。
ペラ猫を作りすぎてもう正常な感覚がなくなってきていたのかもしれない。
そして「この子達を広めたい」という気持ちはついに外へ出た。
大阪で年に2回ほど行われる道頓堀でのアートマーケットイベント
「とんぼりワッショイ」に出てみたのだ。
ペラ猫はアートではないが、
アートというジャンルにしか入れない現実がある。
異様な雰囲気になってしまった。
今見ても、背筋が凍るくらい浮いている。
まず商品が多すぎる。
そしてシュールすぎる。
一人ビレッジヴァンガードだ。
そして売れなかった。
驚くほど。
ただ、鳩とか、象とか、ギターとか、
芝グッズとかが売れてしまった。
猫以外のものが売れてしまった。
受け入れられなかったペラ猫。
わかりやすく言うと、時代が追いついてなかった。
それでもペラ猫はかわいい。と言い張りたい。
このペラ猫はまだバージョン1.0だ。
ipodだって第1世代はでかくてごつかった。
またワンランク上のペラ猫を開発して行きたいと思う。
欲しい人は、ningen_ni_toiawaseru@bokeru.comまでメールください。
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